「今日は冬至かぼちゃね。」
母がかぼちゃと小豆を煮たものを作ってくれて、デザート感覚で食べていた思い出が蘇ります。
柚子好きの父が何個もお風呂に浮かべていた日もこの日でした。
そもそもどうしてかぼちゃを食べたり、柚子湯に浸かるのでしょう。
気になったので調べてみました。
冬至ってどんな日?
冬至とは、北半球において一年で一番日の出から日の入りまでの時間が短くなり、夜の時間が最も長い日のことです。一方でこの日を境に昼の時間も長くなるので、中国では「一陽来福(いちようらいふく)」とも呼ばれています。陰極まって陽に復すこの日をもって1年の始まりとする考え方です。
東京都新宿区にある穴八幡神社、光松山放生寺、水稲荷神社では「一陽来福守」が出されています。
だんだんと陽が長くなる太陽の復活を祝う願いも込められており、古来から中国や西洋でも特別な日だったと考えられます。(クリスマスがこの日に近いのも、関係があるのかもしれません。)
中国の年中行事記『荊楚歳時記』の記述
中国の荊楚地方(現在の湖北省、戦国時代の楚国、唐代の荊州・江陵郡、清代の荊州府)の6世紀の年中行事記『荊楚歳時記』には、「冬至の日、日の影を量る。赤豆粥を作り、以って疫を祓う。」とあります。
この日に疫を祓い、明日から1年を健やかに過ごしたいと思う気持ちは現代にも通づるかもしれませんね。
かぼちゃを食べるのはなぜ?
夏のかぼちゃを貯蔵して冬至の日に食べれば、中風や風邪を防ぐと伝えられています。中風とは、半身が付随になったり、腕や脚が麻痺したりする病気のこと(脳卒中)。回復は難しいと恐れられていました。
柚子湯に入るのはなぜ?
『東都歳時記』には、「今日銭湯風呂屋にて柚子湯を焚く。」とがあります。この日、市中の湯屋には柚子湯を沸かす、これに俗すれば無病息災の験ありと伝えられています。
冬至の日を境に日が長くなっていくことから、古代中国では1年の始まりとされ、疫を祓ったりお祝いをしていた特別な日。
それが日本に伝わり、かぼちゃを食べたり柚子湯に入れば風邪をひかないと伝承され今に至ります。今日は冬至かぼちゃや柚子湯に入って、年末は風邪をひかないようにしたいですね。
<参考文献>
平出 鏗二郎(1991年)『東京風俗志』.八坂書房
斉藤 月岑,朝倉 治彦校注(2003年)『東都歳事記3』.平凡社
長沢 利明(1999年)『江戸東京の年中行事』.三弥井書店
小川 直之(2013年)『日本の歳時伝承』.アーツアンドクラフツ
岡田 芳朗,松井吉昭(2013年)『年中行事読本ー日本の四季を愉しむ歳時ごよみ』.創元社
中村 裕一(2019年9『訳注 荊楚歳時記』汲古書院
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